高血圧と糖尿病は脳卒中の強力なリスクファクター

高血圧は収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg以上を指します。ただし、血圧は体が寒さにさらされた時や緊張状態にあるときは上昇し、自宅で安静にしているときは低くなる傾向があるため、決まった時刻に毎日測定を行い平均値を記録して判断する必要があります。

脳卒中のなかでは、高血圧は脳出血、脳梗塞、くも膜下出血の順番で関係が深くなっており、なかでも脳出血と穿通枝系梗塞の原因形成に深い関わりを持っています。脳内の小動脈は外膜組織が少ないため、高血圧で中膜の平滑筋細胞が障害されると、内幕が拡張しやすくなります。そのため内幕から血漿の成分が動脈壁に漏れ出し、血管の壊死を引き起こします。壊死部分が膨らんで形成された小動脈瘤が破裂すると脳出血となり、血栓によって閉塞すると脳梗塞を発症するのです。

この仕組みを見てみると、動脈硬化、細動脈病変の進行を防ぐことが、脳卒中の予防に効果的であり、ほとんどのケースで降圧療法が脳卒中発症に対して有効と報告されています。ただし、急速かつ過剰な降圧治療によって脳血流が低下すると、脳梗塞を引き起こしてしまうので、医師の指示を守って降圧剤を服用する必要があります。

糖尿病も脳血管障害の重要な危険因子となっており、脳卒中患者の10~20%程度が糖尿病を合併するとされています。糖尿病は統計的にくも膜下出血の発症とは関係がありません。脳出血は、糖尿病でない人の発症例が多いことから、糖尿病は出血性の脳卒中の危険因子にはなりません。しかし、虚血性脳卒中と非常に密接な関係にあり、糖尿病患者が脳梗塞を発症するリスクは、健康な人の2倍以上となっています。特に、高血圧や腎症外を合併する例に多いとされています。

糖尿病になると脳梗塞を発症しやすくなるのは、血管内で血液が凝固しやすくなることが主な原因と考えられています。さらに、糖尿病に合併しやすい高血圧、肥満、脂質代謝異常などが相乗的に作用します。

糖尿病治療の主眼は、血糖コントロールです。脳卒中との関連では、血糖値を下げる作用のあるインスリンの感受性が低下する「2型糖尿病」が多いため、1日のカロリー摂取量を制限した食事療法、有酸素運動を組み入れた運動療法を基本とし、これらで改善が見られない場合は、経口血糖降下剤やインスリン注射が行われます。