脳梗塞の診断に必要な検査(CT・MRI、神経学的診察ほか)

脳梗塞は発症から時間が経つに比例して、壊死する細胞が範囲が広がるため、早急に診断を行って治療を開始する必要があります。前触れもなく、手足のしびれ、言葉のもつれ、視野の欠損などの症状が現れ、意識障害に陥って医療機関に搬送された場合は、原因となった病気を見極めることが重要です。というもの意識障害で倒れるのは、なにも脳梗塞に限ったことだけでなく、脳腫瘍や髄膜炎、硬膜下血腫、てんかんなどでも起こりうるからです。

搬送先の医療機関ではまず、バイタルサイン(体温、脈拍、呼吸数、血圧)と意識レベルの確認をおこないます。意識が確認できない時は、原因疾患を特定するよりもまずは、気道の確保、血圧コントロール、酸素吸入、頭蓋内圧のコントロールといった救急処置を優先します。

これらの救急処置によって、バイタルサインの安定が図られたならば、原因疾患を特定するための検査や診断を行います。これにより、「原因は脳卒中なのか。そうだとすれば脳梗塞、脳出血、くも膜下出血のどれに該当するのか」「脳のどの部位が、どれくらいの損傷を受けているのか」などがわかります。

脳卒中は、日本人に一番多くみられる脳梗塞をはじめ、脳出血、くも膜下出血の3つのタイプに分類されますが、それぞれ治療法が異なるため、どの病気が原因なのかを調べるためには以下の検査を実施する必要があります。

一般内科的診断
全身状態を調べるために、視診や聴診、触診を行います。なかでも重要な手がかりとなるのが、頸部の聴診です。頸動脈硬化が進行して血管が狭くなると、血液の流れる音に雑音が混じって聞こえてきます。

また、血流状態や動脈硬化による血管の狭窄の程度がどれくらいかを把握するため、頭部や頸部の脈拍の強弱、両手足の脈拍の左右差などを触診で調べることも大切です。そのほか、目の網膜にある動脈は、脳の血管に近いため、眼底検査を行うことで、脳の血管の状態を推測することもあります。

神経学的診察
脳梗塞の発症部位を特定し、治療方針を決定するために行われる検査です。最初に意識状態をチェックし、障害が認められる場合は、その程度を評価します。身体を動かせる程度の意識があるならば、歩行や会話レベルによって、運動機能や言語機能などを調べます。意識障害がある場合は、声掛け、身体への物理的な刺激、音声的な刺激を与えてその反応を診ることで、意識障害の重症度を判定します。

画像検査
脳卒中かどうか、そうだとしたら脳梗塞、脳出血、くも膜下出血のどれなのか、梗塞や出血部位の範囲はどうなのか、といった診断をするうえで、画像検査が果たす役割はとても大きくなっています。

脳卒中の疑いがある場合、最初に実施される画像検査は、X線で撮影した脳の画像をコンピュータで処理して、脳の断面図を描き出す「CT検査(コンピュータ断層撮影)」です。

CT検査では、梗塞を起こした部位は黒っぽく写り、出血した部位は白っぽく写ります。特に出血に関しては高い精度を誇っているので、脳出血とくも膜下出血は正確な診断が可能です。逆にいえば、この検査で出血が確認されなければ、脳梗塞などの疑いが強くなることになります。

X線の代わりに強力な電磁波を利用して、あらゆる角度から脳の断面画像を描き出すことができるのが「MRI検査(磁気共鳴画像検査)」です。脳梗塞は発症後24時間くらい過ぎないと画像上で病変が確認できないこともあるため、まずは出血性の有無を上記のCTで確認し、それからMRIによる撮影を行うのが一般的です。

近年は、発症から数時間以内の梗塞部位も映し出せる「拡張強調画像(DWI)」というMRIの撮影方法が普及しており、急性期の診断に効果を上げています。