肺炎は脳卒中の合併症で最も危険で死亡率も高い

全身の臓器を司る脳の血管に異常をきたして発症する脳卒中は、脳内だけでなく前身に影響が現れます。特に知られているのは、脳出血やくも膜下出血における胃潰瘍や消化管出血の合併です。H2ブロッカー(胃酸分泌抑制剤)が開発されるまでは、これらの合併症の治療を困難でしたが、現在は胃粘膜保護剤と組み合わせて投与することで江、重症化するケースは少なくなりました。

厄介なのは肺炎を合併した場合です。健康な人は、体の動きに合わせて肺の末梢から自然に痰を切ることができますが、脳卒中で意識障害に陥った場合や麻痺がある場合、体を動かすことができません。また、長期にわたって横になっているため、喀痰の排出が困難となります。

さらに、喉の筋肉が麻痺していると、本来は食道を通過する唾液や食物が期間から肺へと流れ込み、誤嚥性肺炎を発症するリスクもあります。脳卒中患者が肺炎を合併するリスクは低くなく、死亡原因としても最多となっています。誤嚥性肺炎の治療は、抗生物質の投与が基本となります。

呼吸状態が悪化すると、血中の酸素濃度が低下し、二酸化炭素が増加するため、脳をはじめとする各臓器に悪影響を及ぼします。このためまず酸素を投与し、必要ならば気管内挿管を行います。気管内挿管を行えば、意識障害で舌根沈下が起こっても、チューブは潰されないので、気道が確保でき、人工呼吸器との接続も可能となります。

気管内挿管が1ヶ月以上の場合、あるいは肺機能の悪化が著しい場合には、気管切開術が行われます。これは喉仏の下を切開してチューブを期間内に挿入して、呼吸を可能にするものです。気管内挿管に比べてチューブが短くて済むため、効率よくガス交換が行え、喀痰の排出、吸引がしやすくなります。いずれも一時的に声がでなくなりますが、呼吸状態が改善した時には元通りになります。