無症候性脳梗塞の発見を可能にした脳ドックの画像診断(MRI・MRA)
脳神経外科医による読影

近年、芸能人をゲストに迎える健康バラエティ番組や新聞、雑誌などで「脳ドック」の話題を目にする機会が増えてきました。

脳ドックが注目されるようになったきっかけは、CT(コンピュータ断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像)などの画像診断装置の進歩により、これまで何の症状もなかった人、あるいは従来の画像精度では発見できなかった小さな梗塞や動脈瘤を発見できるようになったことです。

従来の人間ドックでは、心臓、肺、胃、肝臓といった腹部を中心とした臓器の病気の早期発見を目的として検査が行われてきましたが、脳卒中の危険因子である生活習慣病の患者が大きく増加したこと、社会の高齢化により認知症が重大な病気と捉えられるようになったことにより、脳の検査の重要性が指摘されだしたのです。

CT、MRIの診断装置の進歩と普及により、身体的な苦痛の少ない比較的簡易な検査を受けられるようになったので、脳ドックを実施する医療機関は増えてきました。CTやMRIの検査の機会が増えると、手足の痺れや頭痛などの脳の異常を疑わせる自覚症状が全くない人でも、小さな脳梗塞がしばしば発見されるようになってきました。これが脳ドックで最も発見される以上のなかで最も頻度が高い「無症候性脳梗塞」です。

無症候性脳梗塞のある人は、そうでない人に比べて、症状が現れる本格的な脳梗塞を発症するリスクが高いことがわかっています。したがって、無症候性脳梗塞が発見されたら、高血圧、糖尿病、脂質異常症、心臓病などの脳梗塞の危険因子がないかどうかの検査を行い、もし危険因子が一つでも見つかったなら、その病気の治療に専念し、濃厚痩躯の発症帽子に勤めることが重要です。

無症候性脳梗塞がある人は、病気の治療や生活習慣の改善に努めていないと、脳の複数の箇所に梗塞を起こす「多発性脳梗塞」を引き起こしやすいとされています。先日、「主治医が見つかる診療所 人間ドックスペシャル」を見ていたら、40代になったばかりのタレントの方は、小さな梗塞が5箇所も見つかり、本人も視聴者もショックを受けたかと思います。

多発性脳梗塞の怖いところは、認知症の発症リスクも上昇するという点です。無症候性脳梗塞の早期発見は、脳梗塞の発症予防に重要です。その意味でも、今後は脳ドックの必要性が益々高まることが予想されます。上記の危険因子となる生活習慣病のほかにも、喫煙習慣がある方、脳梗塞の多い家系の人は、一度折を見て脳ドックを受診されることをお勧めします。

「何歳で検査をするのが最適なのか?」とお悩みになる方も少なくないようです。日本脳ドック学会では、脳ドックを受ける年齢に関して、中・高齢者への積極的な推奨を記していますが、生活習慣病や喫煙、家族歴などの脳血管障害のリスク因子がある人は、30歳代で頭部MRIやMRA、頸動脈エコー、心電図、血圧測定、血液検査などを受けても、決して年齢的に早すぎるということはありません。